早稲田大学の野中朋美教授が、宇宙での生活を快適にする“食”とシステムデザインの展望を語る。宇宙QOL研究開発拠点の意義や、地上の食の技術を宇宙へどう適用するかが紹介される。
宇宙で暮らす時代の“食”は、地上の食の当たり前を問い直し、農業から調理加工・保存・リサイクルまでを一つの循環として設計する機会となる。野中教授は、ECLSSを軸に人間工学・健康・医学などを組み合わせた人間中心の研究アプローチを強調し、宇宙QOL研究開発拠点の全体像を説明した。
宇宙QOL研究開発拠点は九つのグループから成り、人間工学やスポーツ科学などを中核に据え、民間宇宙サービス・サービスデザインなどの分野融合的な研究マネジメントを行う。拠点は一般民間人を対象にし、長期の滞在を想定した健康・快適性の向上を目指す取り組みである。
宇宙での“おいしさ”は設計し直す必要があり、閉鎖環境で資源を循環させるには生物ECLSSの環境整備が必須。米や豆の生産・少水資源での炊飯技術開発など、食の多様性と持続可能性を同時に実現する設計が研究の中心となる。野中教授は食を通じて異なる学問分野と人を結ぶ結節点として位置づけ、地上技術を宇宙へ適用する意義を強調した。