宮城県に本社を置く東北特殊鋼は、磁場で変形しない金属という話題で注目される中、2026年5月に大同特殊鋼による完全子会社化を目的とした公開買付けを発表した。9月には整理銘柄へ指定され、10月19日に上場廃止が予定されている。
東北特殊鋼は「キリンハガネ」という商標を掲げる特殊鋼メーカーで、設立は1937年。東北大学の指導のもと高級特殊鋼を供給することを創業精神として掲げ、磁気に応答する軟磁性材料や低熱膨張合金、磁場で意図的に変形させる複合材など、用途に応じて素材を使い分ける体制を整えている。自動車エンジンバルブ鋼や電磁ステンレス鋼では国内シェアの高い領域を持ち、熱処方や二次加工も自社で担う点が特徴として説明されている。こうした技術群は、半導体製造装置向けや真空機器、設備部材といった用途にもつながるとされる。なお、EUV露光装置への採用有無は記事執筆時点で確認できず、断定は避けられている。
企業の状況として、エンジン部品需要の縮小が構造的要因となり得るとの認識が示され、決算資料では中期計画の目標未達が明示されている。株価は資産価値の6割程度の水準が続く中、親会社による買付けが公表されたことで、事業の収益性推移や再編の観点が注目されている。さらに同社は公開買付けを通じての再編後の事業展開を想定しているとされ、整理銘柄指定と上場廃止の日程が公表された。
同記事は、磁場で変形しない金属という表現の正確性を検討し、実際には磁気応答素材と低熱膨張合金、磁場で変形させる磁歪クラッド材の3種を用途に応じて組み合わせている点を整理している。半導体製造装置向けの高収益材の拡販が計画に含まれる一方、現時点でEUV露光装置自体への採用の確証はないとされ、主な焦点は市場の評価と親会社の回収モデルの読み解きに置かれている。