後継者が不在の企業が増える中、中小企業の事業承継をめぐる需要が拡大している。M&Aを活用した承継が広がる一方、政策改革や市場規制の動きが進んでおり、仲介・買い手・コンサル・ファンドなどバリューチェーン全体が関係する状況が描かれている。
2019年に中小企業庁が示した「2025年までに後継者未定127万社」という試算が、現実の倒産増加として現れつつある。東京商工リサーチのデータでは、2026年度上半期の後継者難倒産は263件で前年同期比23.4%増、過去最多となった。一方、帝国データバンクは後継者不在社は約13.8万社と依然として高水準で推移している。これにより、業績が良くても承継人がいない企業が消える時代となっている。
この受け皿としてM&Aが広がり、レコフデータの集計では日本企業の関与するM&A件数が2025年に5,115件と過去最多を更新。代表者交代企業の承継では20.6%がM&A等で行われており、「子どもに継がせる」から「外部へ託す」意識の変化が進んでいる。
政策面では中小企業庁が2025年8月に「中小M&A市場改革プラン」を取りまとめ、M&Aを成長の手段として位置づけた。令和8年度税制改正で特例承継計画の提出期限が2027年9月末まで延長され、株式承継の税負担を抑える期間が長くなったほか、信頼できる支援機関を選別する動きが強まっている。
投資の視点としては、承継需要を取り込む企業がバリューチェーンの各分野に散らばる点が挙げられる。仲介、プラットフォーム、コンサル、ファンド、買い手の五つの切り口で、東証上場の20社を独自の格付けで評価する動きが紹介されている。