日油は防衛関連の話題だけでなく、脂質ナノ粒子を支える原料の供給を通じて薬剤運搬の「運び屋」としての役割を強化している。今期は売上の伸びが利益率の低下と同時に見られる一方で、推進薬・推進部材などの素材供給体制を拡充している。
日本油脂は、脂質ナノ粒子(LNP)を包み込む素材の供給を世界的企業へ提供することで、薬剤の体内運搬を担う事業を柱と位置づけている。特にPEG脂質やイオン性脂質といった部品を供給することで、核酸医薬やmRNAワクチンの安定供給を支える。
同社は油脂化学という幹から多様な産業へ枝を張っており、マヨネーズ用油脂や界面活性剤、爆薬・固体ブースターといった幅広い事業領域を展開している。その中でも最も高収益とされる運び屋事業は、承認申請時の原材料表記などから長期的な顧客関係が生まれやすい特性をもつ。
一方、PEGに代わる素材の研究は他社でも進められており、現状の高収益構造が一時的に踊り場に入るリスクがある。決算説明資料によれば、今期は売上高が大きく伸びる一方、四半期の売上高営業利益率は前年同期比で低下している。
市場の反応として、決算発表後に株価が年初来安値をつけたとの指摘がある。日油は素材の供給体制と事業バランスの改善をどう進めるかが焦点となっている。