黒田東彦日銀の政策を巡る書評で、長期デフレの原因は黒田日銀の量的緩和にありという主張が展開される。本文は書籍の内容と著者の見解を要点的に伝える。
本書は黒田日銀の内幕や意図を探ろうとするが、著者は総裁会見での建て前論が繰り返されており、新しいことは多くないと指摘している。書評はデフレが長期化したこの20年の経緯を、内部の評価や政策の影響と結びつけて検討する。
著者は黒田氏が2013年に総裁就任時に大阪支店長人事など内部事情の影響を取り上げ、量的緩和やマイナス金利といった政策を日銀内部の賛同とともに進めたとする。日銀の内部には長期デフレ打開を目指す声があり、異次元緩和を推進する背景があったとする見解が示される。これらの政策は市場の世間のイメージとは異なる肯定的側面もあった可能性があると評価される。
デフレが20年間続いた要因として、著者はデフレマインドだけが原因ではなく国内投資不足を挙げる。特定の時期には資金需要不足、産業空洞化、海外投資の拡大が国内投資を押し下げ、黒田日銀の供給した資金の大部分が海外へ流出したとの指摘がある。これによりデフレが長期化したと論じられる。
最終的には、円安は黒田日銀の政策の副作用として現れ、国内投資は減少、賃金は上がらず、雇用創出のうち非正規が多かったとされる。著者は日銀が何もしないことが最善だった可能性を示唆しつつ、国内投資を増やすための施策として法人税の引き下げや雇用の流動化を提案する。