日本企業の資本配分が「方針」から「実行・検証」へと移行するCGコード改訂と、東京証券取引所の要請アップデートが公表され、市場は中長期的な企業価値創造を重視する姿勢を示した。
本稿は、CGコード改訂と東証の要請アップデートを巡り、日本企業が資本配分を中長期的な価値創造へと転換する動きを整理している。2026年4月の要請アップデートでは、成長戦略と資本の使い方、保有資産の最適化、取締役会の実効的な議論と監督が重要視され、資本配分は実行・検証を経て再配分されるべきと示された。2026年7月のCGコード改訂は、成長の道筋を提示し資本コストを踏まえた投資と事業ポートフォリオ見直し、経営資源の検証を取締役会の役割として強調している。
一方、機関投資家向けアンケートや市場の声を踏まえ、企業は資本コストやROE・PBRの目標だけでなく、成長戦略と資本配分の連動性、経営資源の再配分機能の高度化を求められている。長期投資志向の機関投資家は、資本コストを上回る投資機会の選別と成果の検証、対話を通じた改善を重視しており、取締役会は経営トップの主体性と監督機能を強化する必要があるとの認識が共有されている。
今回の動きは、上場企業の配当や自己株式取得の拡大といった資本還元の動きを背景に、成長投資と資本還元のバランスを「静的な支出管理」から「価値創造を生む資源配分」へと転換させることを狙っている。図表を交えつつ、日本企業のCAPEX・R&Dの対売上高比率が米欧に比べ低水準にとどまる現状が指摘され、長期的な成長投資の強化と、撤退基準を含む検証プロセスの整備が課題として挙げられている。
国際比較では、日本の株主還元は拡大している一方、成長投資は横ばい傾向であり、資本配分を「方針」だけでなく「実行・検証・再配分」の循環として機能させることが求められている。本文は、三つの判断基準(どこへ配分するか、どこから引き揚げるか、検証して成果を測るか)を軸に、経営資源配分の質を高めるための取締役会の役割と投資家との対話の重要性を解説する。
図表3・図表4の解説を踏まえ、経営資源配分を多年度の経営計画の中で継続的に見直し、撤退基準や追加投資の判断を柔軟に運用する体制作りが求められている。