日銀の金融政策決定会合を前に、物価研究の第一人者・渡辺努氏がインフレの背景と課題を語った。現在のインフレは供給要因が中心で、インフレ予想の高まりが家計や企業の行動に影響しているとの見解を示し、日銀の利上げによる抑制の可能性にも触れた。
中東情勢の混迷などを背景に原油価格が高止まりし、物価上昇が続く中、デフレ状態からの転換は2022年春ごろに始まったとの認識が示された。ロシア・ウクライナ情勢の影響で輸入品の価格が上がり、物流コストの上昇も加わっている。
24年8月に宮崎県沖の地震をきっかけに、第2波として買い占めが生じ、物価上昇が一段と強まる局面があった。さらに今年2月以降、米国とイスラエルの動きによる中東情勢の緊迫化で原油価格が再度押し上げられ、食品や資材の価格にも影響が及んだ。
現在の日本のインフレは需要より供給要因が中心であると整理でき、生活者の購買意欲や将来の物価予想が影響を与える点が重要だと指摘された。インフレ予想が高まれば企業の投資や家計の消費行動が変化し、結果として物価が上昇する可能性がある。
日銀は物価安定の目標を念頭に、利上げを通じてインフレ予想を落ち着かせようとしているとの見方が示された。来年3月ごろまでの状況を見極める必要があるとの認識も共有された。