日系企業の欧州拠点としてオランダが選ばれる理由を、日本企業の現地動向や新産業の取り組みとともに整理する。物流インフラの強さやフードテックなどの産学官連携、環境・水素の社会実装計画が柱となっている。
オランダは欧州の地理的中心地としての地位を活かし、ロッテルダム港やスキポール空港など高度に整備された物流インフラを強みとする。英語環境の高さや治安・規制の信頼性も、日本企業の欧州拠点としての魅力につながっている。
欧州統括拠点としての存在感が高まり、オランダを拠点とする日系企業は701社程度に達し、欧州における日系企業数はドイツ・英国・フランスに次ぐ位置にある。今後もアフリカ・アジアを含む全体を管轄する企業の例があり、直近1年半で新設・移転した企業は30社に上る。
フードテックを中心とする高付加価値産業への誘致が進み、世界的な農業技術の統一規格化により欧州輸出の安定性と収益性が向上。デンソーやヤクルト本社、不二製油グループ本社などが現地で研究開発拠点を設置し、現地知見を取り込んでいる。
環境対策と水素ハブ構想も社会実装の重点。ロッテルダム港・アムステルダム港を水素ハブ化する国家戦略のもと、グリーン水素の現地製造と港湾エリアへの供給を進める計画が進行中。2025年には過去最高の貿易黒字を見込み、輸出構造は機械・化学製品などの周辺国へ広がる。
課題としては物価高騰・賃金水準の高さ・住宅不足・人材確保の難しさが挙げられる。最低賃金の高さや高い生活費、雇用環境の厳格さは企業にとって負担となる一方、最先端分野のエコシステムと安定した物流環境は継続的な魅力となっている。