日本企業は組立中心から川上の設計・素材へ転換し、上流での利益獲得を目指す動きが活発化している。具体例としてラピダスの2nm量産計画やアップル・ユニクロの事例が挙げられる。
ポスト冷戦後、日本の製造は、低コスト競争力を持つ韓国・中国などの台頭で揺らいだ。しかし一部企業は戦略を転換し、製品の組み立てやコモディティ化から離れ、設計や素材といった川上領域に重心を移す「ジャパン・インサイド」への移行を進めている。
図表に示されるスマイルカーブでは、川上の設計・高機能材料・製造機械、川下の流通・小売が利益率を押し上げるとされ、上流に集中することで欧米企業の追随を許さない力を得ると説明される。アップルとユニクロはデザイン力と上流素材へのこだわりを維持し、川下はアウトソーシングと直販でコストを抑えている。
ソニーやパナソニックといったかつての家電大手は消費者向け最終製品から撤退するケースが増え、川上・素材・部品・FAの供給体制へ再編する日本企業が目立つ。こうした転換は技術力と生産基盤を土台に、難易度の高い素材や機器の開発・供給に特化する動きとして捉えられる。
日本企業は半導体分野でもコモディティ化からの撤退を進め、素材・パッケージングなど川上・川下の領域へ資源を集約。新たな素材を供給する日本企業の比重は高く、富岳のようなスーパーコンピューター開発や先端材料の研究開発が国際的な競争力の源泉となっている。経済安全保障の観点でも、こうした“見えない強さ”が重要視されている。