海運・物流業界の変革とM&Aの実行力をテーマに、PwC Japanの専門家が後編で議論した座談会の要点をまとめます。
複数の国際税務変化が海運業界の事業設計に影響を与えており、移転価格税制の適用やグループ内取引の利益配分の整合性が求められている。Pillar2の導入により、優遇税制の有効性と配置が検討課題となり、買収後の統合局面での税務リスク管理が重要性を増している。
グローバルネットワーク設計は税務上の最低水準に対応するだけでなく、港湾・倉庫・ITなど非海運所得の扱いにも影響する可能性がある。船舶の国際運航所得が除外対象となる一方で、非海運事業の所得は除外されないケースがあり、M&A後の機能配置の見直しが求められる。
IFRS第16号リースの導入は、傭船を含む定期傭船をオンバランス化させ、資産・負債の増加がROA/ROICなどの指標に影響を及ぼす。リース識別や契約区分、税務と会計の不一致対応など実務上の難所が多く、システム導入にも負担が生じるとの見方が示された。
PMIを含むM&Aの実行には、地政学・経済安全保障のリスクを考慮したシナリオプランニングが不可欠との指摘があり、投資判断には経済安全保障を経営アジェンダに組み込むべきとの意見が共有された。これに加え、税務・会計の観点からは、現行制度の継続性と新制度の影響を継続的に評価する必要があるという結論であった。