世界の高性能バッテリー需要が2035年に6.8TWh超へ拡大する中、ギガファクトリーの量産開始が平均6〜9カ月遅れるとの分析が示され、遅延リスクと対策の要点が整理された。
世界の高性能バッテリー需要は現在おおむね1.6TWh、2035年には6.8TWh超へ拡大すると予測されている。この需要を支えるギガファクトリーは各地で建設が進むが、量産開始は計画より遅延するケースが増えている。工場1拠点当たりの建設費は10億~70億ドルに上るとされ、投資規模は大きい。
量産開始の遅延は平均6〜9カ月と見積もられ、40GWh規模のNMC811セル工場では6カ月遅れるだけで約2.5億ドルの価値を失うリスクがある。一方で、先進企業では着工から18〜24カ月で量産開始に達しており、工場立ち上げ力が競争力の分岐点となりつつある。
遅延の背景には、製品・製造プロセス・工場設計を同時並行で進める難しさ、人材不足、アジアに偏ったサプライチェーン、請負業者や規制対応を含む多関係者の統合管理不足が挙げられている。
先進企業の成功要因として、人材・組織能力、実行管理の仕組み、設計・建設の最適化の3点が挙げられ、AIや生成AIを活用した工程計画の高度化が工期短縮と価値最大化の鍵になると指摘されている。日本企業に対しては、海外拠点の建設支援や現地規制対応、複数サプライヤー間のインターフェース管理など、立ち上げ力の強化が重要だという示唆が示されている。